離婚 2021.10.22
まず,内縁の夫婦間に生まれた子は,母親が親権者になります。
戸籍も母親の戸籍に入り,父親の戸籍には入らず,父親は親権者にはなりません。
父親が親権者になるためには,結論を言えば,母親の同意がいるか,母親が親権者として,極めて相応しくないといえる特別な事情が必要でしょう。
特別な事情とは,例えば、母親が育児放棄や虐待によって,お子様の身体に危険がある場合や母親が亡くなられた場合です。
このような場合でも,夫婦間で勝手に親権者を変更することはできませんので以下の手続きを行う必要があります。
父親を親権者とする方法ですが,まず,父親が役場にお子様を認知する届出をします。
認知すると,父親とお子様との間には,法律上の親子関係が認められますので,お子様に父親への相続権や父親の扶養義務が発生します。
その後,母親とともに親権者変更の届けを役場に提出します。
この場合でも,法律上の親子関係を発生するために父親は子を認知する必要があるでしょう(認知すれば,子に相続権,父親に扶養義務が発生します。)。
その上で,親権者変更の調停または審判を家庭裁判所に申立てなくてはなりません。
この調停で話し合いがまとまらなければ,審判に移行します。
子どもに危険が差し迫っているなど,調停での話し合いをする余裕がない事情がある場合には,親権者変更の審判を申し立てし,さらに,保全処分や親権停止と親権代行者の選任をすることもできます。
このような調停・審判の手続きは,お子様の住所地の家庭裁判所で行う必要があります。
なお,親権者の変更は,先に述べたとおり,母親の虐待や育児放棄などの特別な事情がなくてはなりませんので,容易に認められるものではありません。
戸籍については,親権者を変更する調停が成立した場合やその旨の審判が確定した場合には,親権者変更の調停調書の謄本または審判書の謄本を添えて,お子様または父親の所在地にある役場に届ける必要があります。
この届出によって,親権者が変更したことが子の戸籍に記載されますが,父親の戸籍に入れるためには,これとは別にお子様の氏の変更許可を家庭裁判所から得る必要があります。