離婚 2021.02.28
いざ離婚しようとなった場合、夫婦の間に、20歳にならない未成年のお子さんがいるときに、一番の争いになるのが「親権」であることが少なくありません。
未成年のお子さんがいる場合には、離婚届を出すときに、「今後、お子さんの親権を、夫婦のどちらが持つか」を決めて、離婚届に書いておかないと、役所で離婚届を受け付けてもらえません。したがって、離婚は成立しません。
そこで、本当に「子どもを手放したくない」と思っている場合はもちろんですが、それ以外でも、離婚の引き延ばしのために、離婚したくないと思っている相手が「離婚には応じるけれども、子どもは渡さない」と言ってくることがあります。つまり、離婚の意思が固い相手に対して、半ば意地を張るような気持ちで、親権を争ってくる場合もあるのです。
でも、親権を考えるときに一番大切なことは、お子さんの気持ちやお子さんが安心して成長していける環境です。当然のことながら、お子さんは、親の離婚という大きな問題に対して、不安な気持ちを抱えずにはいられないでしょう。そんなお子さんに対して、親として、これまでお子さんにどれだけの愛情と責任感を持って育ててきたかを振り返り、一日も早く安心して生活していけるよう心を配り、立派な社会人に育てていこうという強い決意があるかどうかということが最も大切なことではないでしょうか。
親権については、夫婦の間の関係を引きずって、感情的になることなく、「自分の子どものために何が一番必要か」という大きな心で、判断をしていくことが大事だと思います。
1. 身上監護権
お子さんの普段の生活の面倒をみる、子育てをする権利・義務をいいます。
法律的な事柄を除いた部分といってよいでしょう。
2. 財産管理権
お子さんの財産を管理したり、法的な手続をする場合に、お子さんを代理する法定代理人となる権利と義務をいいます。
親権を、監護権と財産管理権に分けて、夫婦それぞれが持つことになった場合は、財産権利権は、お子さんが成人する20歳になるまでのものになります。
親権は、このように2つの内容がありますが、どちらの内容も、子どもが親の愛情を受けて、立派に成長するためのものですから、本来、「身上監護権は母親で、財産管理権は父親」というように2つに分けることは避けるべきでしょう。お子さんの普段の生活の面倒を見る側(監護権者)として、より適している方が、親権を全部持つのが原則です。
親権を相手に取られたからといって、不安になる必要はありません。親権がないとしても、今後一切、お子さんに関わることができなくなるわけではないからです。
離婚して、夫婦の関係はなくなっても、お子さんに対する「親としての立場」は変わりません。ですから、定期的に会う約束をすることもできますし、その機会の中で、親子の関係を一層深めていくこともできるのです。
反対に、親権を持ったとしても、お子さんのためではなく、自分のために使うような場合には、親権を濫用していると判断される可能性もあります。その結果として、親権を奪われたり、相手に変更されてしまうこともあります。
親権を持ったからには、お子さんへの愛情や責任を再確認していかなければならないことに注意して下さい。