離婚 2021.01.22
結論からお答えすると…慰謝料には税金が掛かりません!
これは、慰謝料が精神的損害を被った被害者の損失を金銭により償うものであるためです。
被害(つまりマイナス「-」)を金銭(つまりプラス「+」)で償ったことにより、元の状態(プラスマイナス0「±0」)に戻ったと考えるため、課税の対象となる利益の取得はありません。
したがって慰謝料を支払う側にも、慰謝料をもらう側にも税金は課されません。
上記で「慰謝料には税金が掛かりません!」とお伝えしましたが、慰謝料を支払う側が、支払いのためのお金を親族や友達からもらった場合には、お金をもらった本人(支払う側)に贈与税が掛かってきます。
協議離婚をする場合、慰謝料ではなく「解決金」その他の名目でお金が支払われることがありますが、この場合も実質的には慰謝料であることが分かるため、原則として税金は課されません。(これは調停離婚、和解離婚でも同様です。)
ただし、慰謝料であればすべて非課税になるわけではありません。明らかに不相当と認められる金額の場合、多すぎる部分は慰謝料と認められず、「贈与」となります。その場合、贈与の部分には贈与税が課されますので注意が必要です。
また、税金を免れるために離婚したと認められるときは、その離婚でもらったすべてのお金に贈与税が掛かってしまいます。
調停離婚、和解離婚の場合、裁判所が慰謝料について合意した内容を書面にしてくれるので問題ありませんが、協議離婚の場合、離婚届を作成するだけで慰謝料の合意があっても合意の内容を書面にしないことが非常に多いです。
しかし、これでは離婚時に支払われるお金が慰謝料であることが分からず、将来税金を課されてしまうおそれがあります。したがって、慰謝料に課税されないようにするためには、しっかりと合意内容を書面にしておくことがとても大切になります。
次に、一般的に慰謝料は金銭で支払うことが多いですが、金銭以外の財産(土地や建物など)で支払う場合、以下のような場合には支払う側に譲渡所得税が課される可能性があります。
まず、慰謝料として交付する時点の土地や建物の時価が譲渡所得の収入金額になります。
そして、この収入金額(交付する時の時価)から、譲渡資産の取得費(購入した時の金額)、譲渡費用、特別控除額を差し引いた金額が譲渡所得になります。このように算出された譲渡所得額に課税されることになります。
計算式にすると以下のとおりです。
土地や建物が購入したときの価格よりも値下がりしている場合、そもそも譲渡所得は発生しないので課税されません。基本的に取得費(購入金額)よりも収入金額(時価)が上昇している場合に譲渡所得税が課税されることになります。その場合でも、支払う側が居住している土地や建物を交付する場合には、そこから特別控除や軽減税率の適用を受けられる場合がありますので、一度弁護士や税理士に相談してみてはいかがでしょうか?